ずっと暮らしたくなる「銀木犀」は入居者の自由を尊重する終の住処

『管理しない』サービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」

平成24年、内閣府がおこなった「高齢社会白書」によると、自宅で最期を迎えたいと答えた高齢者の割合は54.6%。かつて日本では、大切な家族に見守られながら「自宅」で最期を迎えるのが大半でした。

しかし、近年は、入院先の病院や施設で亡くなる高齢者が年々増加。2025年には、75歳以上の高齢者の医療、介護需要はピークに達すると言われており、お年寄りの一人暮らしや孤独死が深刻な社会問題になっています。

誰しも、愛する家族に看取られながら、安らかに生涯を終えたいと思うもの。そうした世の中の流れを受け、千葉県柏市にある「銀木犀<柏>」では、自立や看取り介護に力を入れています。

地域に根ざした「銀木犀<柏>」の取り組み

入居者にとっての「終の住処(すみか)」を目指している同住宅は、心がホッとするような内装が特徴です。入居者の家族やそこで働く職員までもが思わず、『私たちも暮らしてみたい』『人生の最期はここで』と希望するほど。

そんな、木の温もりが溢れる住宅の玄関には、駄菓子屋が併設されており、近隣に住む子どもたちと入居者の交流の場になっています。今回は、「地域住民と入居者をつなぐ場でありたい」と話す所長の小暮慶次(こぐれ・けいじ)さんに、同住宅の魅力を教えていただきました。

<話を聞いた人>

小暮慶次(こぐれ・けいじ)さん

「銀木犀<柏>」の所長。入居者が自分の家にいたときと同じ気持ちで暮らせるよう、制服は無くカジュアルな服装を心がけている。

「介護」=「管理」ではない

▼9:30~17:00までオープンしている、施設の入り口の駄菓子屋。平日は夕方16時頃になると、近くの小学校に通う子どもたちで賑わう。

ーー銀木犀では駄菓子屋も運営していると伺ったのですが?

小暮さん:はい。入居者から「駄菓子屋さんをやってみたい」という要望があり、住宅の玄関に駄菓子屋を作り運営しています。近所の小学校に通う小学生が放課後、「今日は何を買おうかな」と嬉しそうに駄菓子を買いに来てくれるんですけど、多分ここを駄菓子屋さんだと思っているかもしれないですね(笑)。

ーー駄菓子屋の店番はどなたがやっていらっしゃるんですか?

小暮さん:駄菓子屋の店当番は、入居者同士で毎日ローテーションしながらやっています。時には常連の子どもから金額を教わったりしながら、何より子どもたちと接する楽しみが張り合いになってそこから笑顔が生まれているんです。

ーー地域交流だけではなく、入居者の生活の一部にもなっているんですね。それにしても、住宅の入居者や家族関係者以外の人が、自由に出入りできることに驚きました。

小暮さん:そうですね。銀木犀は通常日中は、玄関の鍵が空いています。従来の老人ホームというと、介護する側が入居者を管理して生活を送る場所です。医療面も生活面もすべてサポート&ケアしてくれる暮らしやすさはあります。

ーー医療体制も生活サポートも整っていた方が、入居者にとっても、家族を預け入れる側にとっても安心だと思うのですが……。

小暮さん:もちろんです。けれど、外との関わりを完全に断ち切って入居者を徹底的に管理することが、本当に心から望む幸せ、住みやすさなのでしょうか。僕はそうは思いません。

入居者の選択の自由を奪う暮らしにくさが、「高齢者施設」=「閉鎖的」というイメージを持たれてしまう原因なのかもしれません。僕らは、入居者ひとりひとりに伸び伸びと自由な生活を送っていただきたいと思っています。

ーー施錠をしないことによって、入居者は自分の住まいに住んでいる感覚で自由に過ごすことができ、且つ地域交流を持つキッカケになっているんですね。

小暮さん:そうであり続けたいと思っています。自分の孫が遊びに来たみたいに、入居者の方が楽しそうにしている姿を見ると、本当に嬉しくなります。

平日の夕方以降になると、本棚の向かいにあるソファにランドセルを広げて、テーブルで宿題をしたり、

小さな椅子に入居者と子どもが座りながら読み聞かせをしたりと、地域に住む子どもたちとの交流が自然と生まれている。

入居者の自立を支援し、できることを増やしていく

小暮さん:地域交流といえば、施設の玄関入ってすぐのところにある「みんなのキッチン」も、一般の方も自由に使っていただけます。

ーー駄菓子屋に寄ったついでに、休憩がてらここでお茶をしたり……?

小暮さん:はい、もちろんです。遊びに来た子どもや家族と入居者が一緒に、料理をすることもあります。

ーー高齢者施設というと、正直「閉ざされた世界」「自由を奪われる」「行動を制限される」というイメージを持っていました。でも、銀木犀は地域交流と入居者の意思を尊重した自立支援を両立していらっしゃるんですね。

小暮さん:先ほどもお話しましたが、行動の自由を奪って管理するのではなく、入居者のできることを増やしていく。これこそが、僕らの目指すカタチです。休日に入居者に会いにいらしたご家族や、ランチを食べにいらした会社員の方が、「老後はここで暮らしたい」と言ってくださることもあって。

ーーえ? 一般の方が銀木犀にランチを食べに来るんですか?

小暮さん:はい。『銀木犀食堂』と称して、11:30~13:30のお昼の時間帯は、地域の方々にもご利用いただけるよう、食堂スペースを開放しています。提供しているのは、すべ入居者に提供しているのと同じメニューです。

ーーちなみに、今日の献立は何ですか?

小暮さん:今日の献立は、いちごババロア、パスタサラダ、クラムチャウダー、オムライス(写真左上から時計回り)です。オムライスの卵は注文が入ってから焼くので、できたて熱々を食べられると食に厳しい入居者の方からも大好評でした(笑)。

ーー食器も陶器だと、見栄えもよくなって食欲が湧きますね! 「高齢者、施設の食事」=「お粥」といった、消化の良さそうな献立ばかりなのかと思っていました。

小暮さん:普通の施設ではそういうこともあるかもしれません。でも体は健康で食欲もあるのに、自宅で毎回お粥が出てきたらどう思いますか? 「もっと他のものも食べたい」と思いますよね。状況によって食形態の変更は行えますが、基本的には普通に食事を楽しんでもらいたい。だから、ルールで縛ったり、強制したりはしません。

今日はオムライスなのですでに盛り付けが完了していますが、普段はご飯やお味噌汁も入居者ご自身でよそっていただいています。

ーーでも、それだと自分で食事量をコントロールするのが難しいですよね。特にお腹が空いているときは、食欲に任せて食べ過ぎてしまいそう。

小暮さん:それで良いと思います。自分が食べたいものを好きなだけ食べられる。私たちに、その自由を奪う権利はありません。もちろん、入居者によっては食事制限をして、食べる量を調整するなどサポートが必要になる場合もあります。

自宅のリビングのような、木の温もりがあふれる食事スペース。入居者の座る席は自由で、平日の夕方はランドセルを広げて宿題をする子どもと利用者の姿も。

ーー行動の自由を制限したり、食事量を管理したりするのではなく、自立を目指すためのサポートであると。そう言われてみれば、ご飯を食べに来た入居者のほとんどが、キッチンカウンターまで自分で食事を取りに来て、自分でよそって席まで運んでいますね。

小暮さん:それも、自立支援のひとつです。私たちは、入居者ひとりひとりのできることを継続しながら、自立できる生活を送るためのサポートをすることが、何よりも一番大切だと考えています。

単に住み心地が良いだけではなく、365日24時間体制で在宅療養支援診療所と連携を取りながらの医療サポートも万全です。なので、遠方に離れて暮らすご家族にも安心していただけます。

家での暮らしを実現できる「銀木犀」

庭を彩る木々や草花は、入居者と近隣住民が自分たちの手で定期的にメンテナンスしているのだそう。こうしたちょっとした交流の積み重ねが、入居者にとっての生きる原動力にもなっているのです。

高齢者住宅というと、どこか周りから隔離されたようなイメージがありますが、「銀木犀 柏」では地域の人が自由に出入りできる、風通しの良いアットホームな空間が広がっていました。

<施設情報>

銀木犀<柏>
住所:千葉県柏市柏297-5
公式HP:http://www.ginmokusei.net/

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