自分らしくいられる。高齢者施設の新しい価値を提供する『musubiまちの家』

musubiまちの家は帰りたくなる場所

『musubiまちの家』ってどんな高齢者施設?

新しい形の高齢者施設

高齢者施設と聞くと、閉鎖的な印象を持つ人も多くいると思います。しかし、そんなイメージを覆す「我が家のような暮らしやすさ」を実現した、新しいカタチの高齢者施設があります。

musubiまちの家

やって来たのは、大阪府東大阪にある、サービス付き高齢者向け住宅「musubiまちの家」。南向きの全面採光の大きな窓から差し込む陽の光が、部屋中を明るく照らしています。

「これまでにない、価値あるソリューションを提供したかった」と語る、株式会社セーフセクションの代表取締役である安部諒一(あべ・りょういち)さんに、同施設の魅力や内装のこだわりについてお話を伺いました。

<話を聞いた人>

musubiまちの家設立者の安部諒一さん

安部諒一(あべ・りょういち)さん

株式会社セーフセクション代表取締役。大学卒業後、経営者だった父親からの誘いで、2009年に株式会社セーフセクションを設立。『やるからには、想像を覆す高齢者住宅を創りたい』と、翌年2010年に住宅型有料老人ホーム「musubi」を開業。2014年には、「musubi」の斜め向かいに2棟目となる、クリニック併設の「musubiまちの家」を設立し、介護業界にはない新しい発想で価値転換をしていこうと、日々奮闘している。


自宅で過ごしていたときと同じように過ごせる空間を

開放感のある天井

ーーとても開放感がありますね。天井が吹き抜けになっている高齢者施設って、はじめて見ました。

安部さん:そうですね。天井が吹き抜けになっている施設はあまりないと思います。今まで色んな施設を見てきましたが、どこの高齢者施設も大体が天井が低い創りになっているから、圧迫感があるんです。数週間程度なら我慢できるかもしれないけど、この先ずっとここで生活をしてくとなると、さすがに息が詰まるなと。

ーー確かに天井が低いと落ち着かないし、閉じ込められている感が強くなってしまうかも。

安部さん:はい。なので、1~2階の天井部分は全部ぶち抜いて、スケルトン(吹き抜け)にしました。配管がむき出しになることで、高さと奥行きが出ます。たったこれだけで、『病院っぽさ』『施設っぽさ』がなくなって開放的な雰囲気になるんです。どうですか、自宅にいるような感覚になりませんか?

太陽の光が当たる天井

ーーはい。思わず見上げてしまうほどの高さと奥行きがあって、最初に思い描いていた高齢者施設のイメージとだいぶ違います。あれ?あそこの天井部分って、窓になってるんですか?

安部さん:そうです。太陽の光が上から当たっていると、まるで外にいるかのような感覚になるんです。

ーー特に今の季節は気温も温かいし、何も用事がなくても外に出かけたくなりますね。「今日は少し歩こうかな」とか、気持ちにもゆとりが生まれる気がします。

安部さん:それは高齢者も同じなんです。窓の真下に背の高い草木を植えれば、室内にいながら、公園を散歩しているかのような、外出気分も味わえます。緑が見たいのか、風に当たりたいのか、太陽の光を浴びたいのか、外に出たいと思う理由は人それぞれですが、どんよりした気持ちもパッと明るくなるんです。

ーー「musubiまちの家」という名前にぴったりな、温もりを感じられる空間ですね。入居者の方々も、自宅にいたときと同じように伸び伸び生活できそう。

安部さん:そうでありたいと思っています。やっぱり、高齢者施設というと、閉じ込められてしまう、生活を制限される、自由を奪われると、マイナスに捉えてしまう高齢者が非常に多いんです。でも、実際に入ってみたら全然違ったと言っていただけることがあって。高齢者施設で新しくできた友達がいつも近くにいるし、安心して介護も受けれるし、何かあったときはナースコースを鳴らせば看護師も呼べるし、自宅で生活していたころよりも、より自分らしい生活が送れているんじゃないかなと感じます。

ーーすごいなぁ。ここまで作り込んでいると相当な費用がかかるんじゃないですか?

安部さん:そうですね、坪単価は68万円くらいだったと思います。でも、ここまで作り込んでる高齢者施設って、なかなか珍しいと思いますよ。案内するので、ぜひ見ていってください。

ーーありがとうございます!

自宅に住んでいる感覚にできるだけ近い空間を提供したい

自宅に住んでいる感覚の高齢者施設

>大きなガラス張りの2階の廊下には、テーブルや椅子を置いて「まち」をイメージ

ーーテーブルセットが置いてある! まるでカフェみたいな雰囲気でめちゃくちゃおしゃれですね。

安部さん:ここは、入居者の憩いの場にもなってるんです。今の時期は、向かいにある桜が満開になってとてもきれいなんですよ。秋には紅葉もあったりして。季節ごとで移り変わる外の景色を眺めながら、入居者同士が楽しそうに会話している姿を見るとなんとも言えない喜びを感じます。

ーー新しい友達ができたり、人と人の縁を結ぶきっかけの場にもなっているんですね。

安部さん:「musubiまちの家」という名前の由来が、まさにソレです。「むすび」って、縁結びとか絆とか、目に見えないモノ、コトをつないでいく、日本語特有の言葉だなと。優しくてほっこりできるその言葉が、しっくりきたというか腑に落ちたというか。それで、「musubi」という名前をつけたんです。

間接照明がオレンジの高齢者施設

>夜になると、天井から吊るされた間接照明にオレンジ色のライトが灯り、昼とはまた違った雰囲気に変わる。

ーー先ほどから気になっていたんですけど、「musubiまちの家」は照明が蛍光灯ではなく、全て間接照明なんですね。

安部さん:そこもこだわったポイントです。間接照明を使うことで、蛍光灯では出すことができない街明かりのような温かい印象になるんですよ。あえて細身の手すりにして、“家っぽい雰囲気”の邪魔になる要素は、とことん削ぎ落としました。これも、すべて建築家のアイデアによるものなんです。

ーー安部さんと建築家の方のアイデアやこだわり、センスの賜物ですね。

安部さん:高齢者施設を設計したことがある建築家に作ってもらうと、施設に対する先入観があるから、どうしても今までと似たような仕上がりになってしまうんです。見た目の美しさももちろん大切だと思います。

でも、きれいさだけを追求してしまうと、入居者にとっては住みにくかったり居心地が悪かったりして、結局自分が実現したいカタチにならないない。それで、考えもアイデアも常識にとらわれていない、若手の建築家に設計を依頼しました。

28室の部屋すべてが違う間取り

すべて違う間取りの高齢者施設

ーー壁のところどころに街灯っぽい照明があったり、ベンチが置いてあったりして、建物がひとつのまちになっているんですね。ところで、「musubiまちの家」には何部屋くらいあるんですか?

安部さん:1階に9部屋、2階に19部屋の合計28部屋です。「建物全部が家になるデザインにしたい」って建築家の方にお願いをして、28室すべて違う間取りにしました。

ーー施設って、廊下の両側に部屋がズラーって並んでいるパターンが多いですよね。全部違う間取りにしたのはどうしてですか?

まちの中に家を創っていくのがコンセプト

安部さん:「まちのなかに家を創っていく」というのがコンセプトだったので。実は、設計当初は、こういう感じで一室一室すべてが、一個の部屋になるカタチを想定していました。でも、計算したら想像以上に膨大な費用がかかってしまうということで、この計画はなしになってしまったんです。

それでも「日常を感じられる空間」だけはどうしても妥協したくなかった。そしたら、建築家の方が、「であれば、部屋の間取りを全部変えてみるのはどうですか?」と提案してくださって。だから、部屋ごとで、洗面台やお手洗いの位置も微妙に違うんですよ。

間取りを工夫した高齢者施設

ーーひと部屋あたりの広さってどのくらいですか?

安部さん:間取りはすべて1Rで、大体が18?18.78㎡くらい。ちょうど、一人暮らしの広さですね。

一部屋が広く見える

ーー1Rって割と狭く感じてしまうのですが、高齢者が1人で住むには広すぎるような感じがします。広く見せる仕掛けがあるんですか?

安部さん:仕掛けというほど大げさなことではありませんが、圧迫感を感じないように、窓を大きめに設計してもらいました。それともうひとつ、木目調の家具と間接照明で統一したのもポイントです。ブラウンをポイントに置くことで、部屋全体が温かみのある雰囲気になります。部屋が明るいと、「今日も素敵な一日になりそう」って気持ちも前向きになれますから。毎日生活する部屋だからこそ、快適に過ごして欲しいじゃないですか。

『musubiまちの家』一番のこだわりは食事

musubiまちの家は食事にこだわっている

ーー先ほどから、とてもいい香りがします。しかも、オープンキッチンなんですね。家に居るみたい。

安部さん:包丁の音や、お鍋とお玉が擦れる音とか、なんでもない生活音が自然と耳に入ってくる。ただそれだけで、そこに人の存在を感じられるから安心できるんです。それと、リハビリも兼ねて、利用者の方が自分で取りに行けるシステムにしました。誰が作ったのかわからない料理がカートで運ばれてきても、食欲は湧かないですから。

ーー確かに!

安部さん:作ってる人の顔が見えて、「今日の献立は◯◯だよ」なんて会話をしながら、食べたいものを自分で選ぶ。人とのこういう何気ない何気ないやり取りも、食事をするときの楽しみだと思うんです。ちなみに、高齢者施設の入居者が抱える、一番の心配事や悩みって何だかかわかりますか?

ーーう?ん……。家族と離ればなれになってひとりで寂しいとかでしょうか。

安部さん:それもありますね。でも、一番多いのが、実は食事なんです。多くの人が「食事がおいしくないこと」に対して不満を持っているんです。生きていくうえで「食べること」は絶対になくてはならないことだから、うちでは、食事にはめちゃくちゃこだわってます。

献立が豪華な高齢者施設

ーーこだわっているというだけあって、献立がめちゃくちゃ豪華ですね。しかも、煮物や唐揚げ、グラタンまで! 正直、高齢者施設の食事って薄味で味気ないものばかりというイメージがありました。けど、こんなに高カロリーな食事を食べて健康に問題はないんですか?

安部さん:まったく問題ないです。うちは栄養管理士がきちんとカロリー計算、栄養バランスもすべて管理していますから。僕が一番大切にしたいのは、利用者の方が自分らしく生活できることです。

検査入院など、治療に専念するために食事を制限するのはわかりますが、健康な人がカロリーや食事量を厳密にコントロールする必要がどこにあるのでしょうか。薄味で美味しくない食事は食欲もわかないから、そのうち食べなくなってしまいます。

その結果、栄養が偏って免疫力が落ちて風邪を引きやすくなったりして、体の不調につながるんです。だから、musubiでは、高齢者だからって厳密に管理してカロリーを抑制することはしません。

ーーそれなら、食事バランスが偏る心配もなく安心ですね。それにしても、できたての美味しい食事を1日3食食べられるだなんて幸せ。

食事には陶器を使用

ーーあれ?お皿やお茶碗って、もしかして全部陶器ですか?施設や病院で出てくる容器って、大体がプラスチックのところが多いですよね。

安部さん:よく気づきましたね。そうなんです、うちは食器もすべて陶器を使ってます。自宅で食事をするとき、お茶碗もお皿も小鉢も全部、陶器に盛り付けますよね?ここでは、自宅で生活していたときと同じような生活を送って欲しいんです。

ーー徹底されているんですね。でも、ここまで充実していると入居金も相当高いのでは?

安部さん:入居一時金は無料で、月額利用料は約15万円?となっています。大阪府の有料老人ホームの相場価格が15万円前後なので、それと比べると平均ぐらいの金額だと思いますよ。

要支援1~要介護5までさまざまな人が入居

施設の利用者のステータスはバラバラ

ーーみなさん、自分できちんと食器茶碗を持って楽しそうに食事をされていましたが、どういった方が入居していらっしゃるんですか?

安部さん:寝たきりでお風呂や着替えなどアシストが必要な方、身の回りのことは自分でできるけども認知症を患っているという方まで(要支援1~要介護5)利用者はバラバラです。

ーーアシスト?サポートではなくてアシストですか?

安部さん:そうです。うちでは介護職のこともヘルパーではなく、アシスタントと呼んでいます。介護や医療の安心、安全面だけをサポートすることだけが利用者が求めていることだとは限りません。

「住み心地」「居心地のよさ」など、自分らしい生活を送るために必要なことも含めてアシストしていきたいという想いが含まれています。それともうひとつ。クリニックも併設されていて、且つ看護師が24時間体制で常駐しているのも、「musubiまちの家」の大きな特徴です。

ーーそうなんですね。すぐに駆けつけられないところに住んでいるご家族も安心ですね。

安部さん:はい。ご家族はもちろん、入居者の方ご自身が一番安心だと思います。「ちょっと具合が悪いな」と思ったら、ナースコールを押せばすぐに看護師がその方のもとへと駆けつけますし、クリニックでの診察もおこなえるので。

ーー自宅にいると、かかりつけの病院や救急に連絡したり、病院に向かうまでの移動時間などタイムラグがあったりするので、看護師や医師に診てもらえる環境だと安心ですね。

「早く『musubiまちの家』に帰りたい」

musubiまちの家は帰りたくなる場所

ーーこれだけ居心地がいいと、もうずっと前からここに暮らしていたのかのように錯覚してしまいそうですね。「高齢者施設=強制的に入れられる場所だ」と感じてしまう理由から、入居を拒否する高齢者が多いと聞きます。

安部さん:きっとそれは、先ほどからお話をしている「閉ざされた場所」「疎外感」「ご飯が美味しくない」という理由が原因だと思っています。高齢者施設というのは、本来は、利用者がわがままを言えて、安心できて、ストレスなく過ごせる場所であるべき。

検査入院など病院から戻ってくると、開口一番「やっと帰ってこれた」「やっぱりここが安心するわぁ」って言ってくださるんです。ここを我が家のように感じてくれているってことが、本当に嬉しくて嬉しくて。「musubiまちの家」を創ってよかったと、心の底から思います。

ーーこれから利用者にとって「musubiまちの家」をどんな場所にしたいですか?

安部さん:わがままを言える場所、でしょうか。食事に関しても、スタッフのアシストに対しても、「ありがとう」と言ってくれるけど、本当は「もっとこうしたい」って思ってることがあるかもしれない、遠慮していることがあるかもしれない。

だからこそ、自分の家で過ごしていたときと同じように、利用者の方の要望を叶えられる、実現できる、あるがままに過ごせる存在でありたいと思っています。

「musubiまちの家」はありのままでいられる場所

新しい価値を提供する高齢者施設

今回は高齢者施設の新しい価値を提供する「musubiまちの家」で、介護業界のマイナスイメージを払拭しようと奮闘している、安部諒一さんにお話を伺いました。ちなみに施設の外壁の一部は、無機質なイメージをなくすためにすべて手作業で手掘りしたのだそう。

さらに、庭を彩る植物たちは、専属の庭師にお願いをして手入れは事欠かない。「住みやすさ」にとことんこだわった「musubiまちの家」では、利用者だけでなくそこで働くスタッフも心地よく快適な良く毎日を過ごすことができる施設なのです。

<施設情報>

musubiまちの家
住所:大阪府東大阪市中鴻池1-7-30
公式HP:https://www.musubi-ss.com/

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