カジノで脳を活性化? 「デイサービスラスベガス 足立店」が提案するワクワクする介護

今回お邪魔したのは、東京都足立区にある「デイサービス ラスベガス 足立店」。シャンデリアで明るく照らされたフロアには、バカラテーブル(高級カジノテーブル)やスロット台など、高齢者施設とは思えない本場ラスベガスさながらの設備が整っています。

「カジノ」がテーマである同施設では、身体機能訓練や認知機能の向上を図るために、ゲーム感覚で楽しめるバカラやブラックジャック、麻雀をレクリエーションに取り入れているといいます。従来のデイサービスのイメージを覆す「デイサービス ラスベガス 足立店」の魅力を、運営会社のACA Next株式会社の代表、森 薫さんにお話を伺いました。

<話を聞いた人>

森 薫(もり かおる)さん

ACA Next株式会社代表。デイサービスラスベガスの運営をはじめ、介護施設、訪問介護、居宅介護支援事業や福祉施設や学校給食を提供するフード事業、技術開発人材派遣事業なども手がけている。

カードゲームや麻雀が脳の活性化につながる

ーー従来のデイサービスというと、ご利用者が集まって歌を歌ったりお手玉をしたりのイメージが強くありました。

森さん:そのイメージの方が一般的かもしれません。しかし、弊社で取り入れているのは、ブラックジャック(カードゲーム)やパチンコ、麻雀といったレクリエーションが中心です。

どのゲームもギャンブルのイメージが強いことから、介護にはふさわしくないとネガティブに捉えてしまう方もいらっしゃると思います。けれどゲームをすることで、年齢とともに衰える前頭葉(思考、運動、創造を司る部分)が活性化され、老化防止にもつながると言われています。

ーー脳機能の向上や認知症の改善にもつながるということでしょうか?

森さん:はい、それを目指しています。ご利用者のご家族からは、「前よりも会話が増えた」「認知症の進行が止まった」というお声をいただいています。

あくまでも私個人の考えですが、要介護認定を受けてしまうと一般的には、社会との交流が断絶されてしまうケースが多い傾向にあるです。人と会う回数が少なくなれば会話も減りますし、ご自身で考えたり意思決定を下す力も衰えてしまいます。
そのような状態から認知症が発症するケースもあります。

ーーその改善策として考えたのが、デイサービスラスベガスだったワケですね。

森さん:はい。ご利用者自身が自らが「行ってみたい」という気持ちになって頂けるよう、介護施設っぽくない雰囲気にしています。さらには、施設内通貨やゲームを用いて、足し算引き算といった単純な計算を自然な流れで日常生活に取り入れているんです。

認知症の進行が少しでも止まって欲しい、ご利用者の方々の症状が少しでも良くなって欲しいと願いを込めて、私たちはサービスを提供させていただいています。

視察で訪れたラスベガスで沸いた閃き

ーーでも一体どうして「カジノ」なのでしょうか? カードゲームならほかにも、カルタ、花札などもあると思うのですが……。

森さん:「カジノ」をテーマにしようと思ったのは、新規事業開発のために訪れたラスベガスがキッカケでした。そこでは還暦を迎えているであろう、白髪混じりの杖をついた高齢者の夫婦が、ハイタッチをしながらカジノを楽しんでいました。

年齢関係なしにカジノを楽しんでいるその姿があまりにも魅力的で、「あぁ、こういう楽しめるサービスが日本にもあったらいいなあ」と思いました。はじめはただの願望ですよね(笑)。

ーー日本だと「高齢者=家にいる」と思われがちですが、むしろアメリカでは高齢者が積極的に外に出て行く。

森さん:そうですね。私がラスベガスでお会いした高齢者から感じたことは「とにかく自分の人生を思いっきり楽しむ」ということです。「高齢者=家にいる」という日本のようなイメージはありませんでした。もちろん家で過ごす方もいらっしゃると思いますが、ご自身でその選択肢を選んでいらっしゃるんだろうと思います。

ーー自分で選択できるって大切ですよね。

森さん:はい、そうですね。日本全国では5万事業所を超えるデイサービスがありますが、
いわゆる従来型の一般的なデイサービスが多く、明確な選択肢があるような状況ではないと認識しています。その選択肢のひとつになれればと思い、デイサービスラスベガスを創りました。

現在、デイサービスラスベガスは男性7割、女性3割と特に男性のご利用者に利用いただいていますが、私が14年前に運営していた従来型のデイサービスは女性8割、男性2割と男性のご利用者の数が圧倒的に少ない状況でした。男性が自発的に外に出て施設を利用していただくためには、どうすればいいのだろうとずっと考えていたんです。

ーーそのときに出会ったのが、視察で訪れたカジノだったと。でも、男性のご利用者が少なかったのはなぜですか?

森さん:一概には言えませんが、一般的なデイサービスでのレクリエーションは切り絵、貼り絵、塗り絵などのレクリエーションが多く「つまらない」と感じてしまうご利用者もいらっしゃいます。また、介護サービスに通っている事を、近所の人に知られたくないと思う方も多くいるんです。

以前、男性のご利用者の方をひどく怒らせてしまったことがありました。ご自宅に白の送迎車でお迎えに行った際、「ふざけるな! 近所の人から俺が介護施設に通っていることがバレるだろ」と。

その方に対するデリカシーのなさや配慮に欠けていた事を今でも忘れていません。そんな中ラスベガスのカジノホテルの送迎車をみて「これだ!」と閃きました。カジノホテルの送迎車は黒塗りの高級車ですから(笑)。だから、当施設では送迎車も白ではなく黒塗りのワンボックスカーを使用しています。

ーー送迎車が黒塗りなのもご利用者への配慮だったんですね。でも、白塗りが当たり前だとされている介護業界では特殊ですよね。スタッフの方々の理解を得るのは難しかったのではないでしょうか?

森さん:そうですね。今までの介護の概念を変えるのはそう簡単ではありません。黒の送迎車を買うように指示を出したら、担当者が普通に白の送迎車を発注していましたかね……。社長とはいえ「何考えてんだ? こいつ……」という感じは半端なかったですから(笑)。
現在20店舗あるすべてのデイサービスラスベガスは、黒のワンボックスカーで統一しています。

高齢者施設の送迎車というと白塗りのワンボックスカーが一般的ですが、ご利用者の方々からも「こんないい車でお迎えにきてくれてうれしい!」「これなら近所の人にも知られずに済む」と好評ですよ。

▲レクリエーションの合間に行う部分運動の様子。ご利用者がリラックスして過ごせるよう、スタッフの制服はあえて介護感のないモノにしている

ーーちなみに、先ほどからずっと気になっていたのですが、カジノといっても金銭のやりとりが発生するワケではないんですよね?

森さん:もちろんです。金銭の授受が目的ではなく、ゲーム感覚で楽しんでいただくことが大前提ですから。当施設オリジナルの施設内通貨ベガスをお渡していて、獲得したベガスはご利用者全員に配布しているパスポートに通帳のように記録していただいています。

自分が「いつ」「どれくらい」ベガスを稼いだのか?がひと目で分かるようにしています。
パスポートをみて「また行こう」と前向きな気持ちになって継続して通う意欲にもなると思っています。趣味趣向をキッカケに通っていただけるご利用者が増えた事は本当に嬉しいです。

ーーご利用者が心から楽しいと思い自発的に通うようになると、ご家族も安心して大切なご家族を預けられますね。

森さん:そうですね。そうでありたいと思っています。「デイサービスに通ってもらいたい」という家族のご要望は非常に多いです。2015年に、安倍晋三首相が打ち出した「介護離職ゼロ」の実現も、ご利用者本人が自らの意思でデイサービスに通われるようになれば状況は大きく変わってくると思います。

ーー自分がいつか通ってみたい、自分の大切な人に使ってもらいたいと思える場所でなければ、ご利用者本人に意欲的に通ってもらうのはなかなか難しいですよね。

森さん:そうですね。デイサービスに通われることによってご家族の介護負担を軽減できますが、ご本人が無理やり通っているような状況は長く続かないんです。ご家族の介護負担を軽減するためにも、ご利用者の意思を最優先しています。

東京オリンピック開催後の2025年には、高齢者の人口が約3,600 万人に達すると推計されていますよね。それまでにより多くの人から選ばれる存在であることが、私たちの果たすべき使命だと思っています。

まとめ

「自由を奪われるから」「楽しくないから」「年寄り扱いされるから」といった理由からデイサービスに通うことを拒む高齢者は多くいます。そういった方のニーズに対応した「デイサービスラスベガス 足立店」では、ゲーミング要素を取り入れ楽しみながらリハビリをおこなえる今までにないタイプのデイサービスです。大切な両親を預け入れる場所の新しい選択肢として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

<施設情報>

デイサービスラスベガス 足立店
住所:東京都足立区島根1-1-8
公式HP:http://las-vegas.jp/

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